ヒルダ C

【ヒルダ】
 あれー? ちゃん、わざわざどうしたの?▼

 突然すみません、ヒルダさん。
 あの、以前お借りした靴下をお返ししようと思って……。▼
【ヒルダ】
 えっ、そんなのべつによかったのに!▼
 っていうか、もしかして、新しいの買ってくれたの!?
 洗って返してくれるだけで十分なのにー。▼

 そ、そういうわけには……。▼
 それでは、失礼します。
 お部屋をお訪ねしてすみませんでした。▼
【ヒルダ】
 ちょっと待って、ちゃん!▼
 よかったら、お茶しない?
 ちょうど、フェルディナント君に茶葉を貰ったんだよねー。▼

 いえ、わたしは……。▼
【ヒルダ】
 ほらほら、遠慮しないでー。▼

 ひ、ヒルダさん……!
 わ、わかりましたから、引っ張らないでください。▼
【ヒルダ】
 ふふふ、やーだ。
 だってちゃん、隙を見て逃げちゃうかもしれないじゃない?▼
 いつもはあたしがちゃんに声をかけてばっかりだけど、
 今日はこうして部屋にまで来てくれたんだもの。▼
 こんな機会を逃すわけにいかないでしょ?▼

 そんな、逃げたりしません。▼
 それに……ヒルダさんがご迷惑でないのなら、
 またお部屋に伺います。▼
【ヒルダ】
 え! ほんとうー?
 わー嬉しい、約束だよー!▼

 だ、だから、その……手を、離してください。▼
【ヒルダ】
 んー……それはやっぱり、だめー。
 たとえ逃げなくったって、ちゃんと手を繋ぎたいなー。▼
 ね、いいでしょー?▼

 ……わかりました。▼
【ヒルダ】
 ちゃんならそう言ってくれると思ったよー。
 フェルディナント君直伝の美味しい紅茶、特別に振舞っちゃうからね!▼