ディミトリ C

【ディミトリ】
 ? そんなところでなにを……。▼

 あ……ディミトリ王子殿下。
 すみません。すこしだけ静かにしていただけますか?▼
【男子生徒1】
 あれ?
 こっちに来たと思ったけど、いないな。▼
【男子生徒2】
 あーあ、エリアーヌさんとお近づきになれたらと思ったけど……。▼
【男子生徒1】
 しっ……殿下の姿もある。今日は諦めよう。
 しかし、エリアーヌさんの妹があれとはね。▼
 (男子生徒たちが去る)

 …………。▼
【ディミトリ】
 まさか、追われていたのか?▼

 い、いえ……追われるというほど、
 大袈裟なことではありません。▼
【ディミトリ】
 その口ぶり……もしかして、よくあることなのか。▼

 姉を紹介してほしいと言われることは、よくあります。
 いつもお断りしていて……▼
 あっ、でも……ここまでしつこくされることは、稀ですから。▼
【ディミトリ】
 稀、ということは、初めてではないんだな。
 追い回され、怖かっただろう。▼
 誰かに相談……は、お前のことだ。していないんだろうな。▼

 ご相談するようなことでは……。▼
【ディミトリ】
 、これは相談すべきことだと俺は思う。
 今度、同じような目に遭ったら、俺を頼ってくれないか。▼
 こうして背に隠れてやり過ごすこともできるし、
 なんなら蹴散らすことだってできる。▼

 そ、そんな……
 ディミトリ王子殿下を盾になんて、もうしたくありません。▼
【ディミトリ】
 ん……? ああ、戦場でのことか?
 気にすることはない。弱者を助け、守るのは当然だ。▼
 俺はお前より強い。ただそれだけのことだ。▼

 ですが……。▼
【ディミトリ】
 それより、
 呼び名が元に戻ってしまっている。余所余所しいな。▼

 えっ? あ……も、申し訳ありません。
 ディミトリ……さま。▼
【ディミトリ】
 もう一度。▼

 は、はい。ディミトリ様……
 まだ呼び慣れないので、緊張してしまいます。▼
【ディミトリ】
 はは、ただ名前を呼ぶだけだろう? まだ余所余所しいくらいだ。▼
 さて……部屋まで戻れるか?
 ひとりが不安なら送るが……。▼

 いいえ、大丈夫です。
 ありがとうございます、ディミトリ様。▼
 (が立ち去る)
【ディミトリ】
 ……それにしても。
 妹があれ、などと言われるのか。腹立たしいな。▼